ギィ……とお約束どおりのきしみ音をたてて扉は開いた。
 木こりの家である。主の姿は見えない。
「あらあら無用心ね」と言いながら、ヴァリスは早速、手近にあった宝箱に手をかけた。光り物が大好きなエルフは、宝箱を見ると理性を失くし気味だ。
 だが、すぐに上機嫌に流れていた鼻歌はピタリと止まった。
「ねぇ、こんな棒が入ってたんだけど、何だと思う?」
 わざわざ宝箱に入れる必要があるのかしらと、首をひねりたくなる代物に困惑するヴァリスに、
「さあな」
「とりあえず回収しとけよ」
 ハンターとファイターはいかにも興味なさげに答えた。
「今日は伐採場に行っているみたいですね」
 壁掛けのボードに書き込まれた予定を見て、ルーシェが口を開く。
 その間にもヴァリスは、自分の身長よりも高く積み上げられた荷物の上にも宝箱があるのを目敏く見つけていた。
「ザス、その木箱をここに置いてくれないかしら?」
 少々のことでは揺らいだり崩れたりしそうにないのを確認すると、足場を作ってくれるようザスに頼む。
 力仕事を快く請け負ったファイターは、軽々と木箱を抱え上げた。
「この辺でいいか?」
「ありがと」
「気をつけろよ」
 足場から荷物の上へと身軽く移動するヴァリスを見守りながら、何かあればすぐに対処できるようにとザスは神経を張り詰めさせた。
 宝箱にはトラップが仕掛けられていることもあるからだ。
 少し離れたところではルーシェとエナンが床の扉を開けようとしている。
「食糧の保存庫でしょうか?」
「いや、地下室のようだ。反響音が深い……鍵がかかってるな」
「じゃあ、これがその鍵かしらね~」
 宝箱の中身をひらひらと振ってみせたヴァリスは、それをエナンに向けて放り投げた。
 緑髪のハンターは振り返りもせずにキャッチすると、鍵穴に差し込む。
 かちり、と一同の期待を裏切らない音が響いた。
「結構広いわね。いかにも何かありそうだわ」
 好奇心旺盛なエルフは開けられた扉の中を真っ先に覗き込んだ。
 いつの間に側に来たのかと、ルーシェが驚いた顔をするのにも構わず、いそいそと地下室へ入っていく。
「びっくりするだろ? あいつの動きには時々俺でも付いて行けん」
 そう言って肩を竦めるザスに、ルーシェはにっこりと微笑んだ。
「弱気なことを。あなたにはしっかり(あの暴走エルフの見張りを)していただかなくては」
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