<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?><rdf:RDF xml:lang="ja"
	xmlns="http://purl.org/rss/1.0/"
  xmlns:rdf="http://www.w3.org/1999/02/22-rdf-syntax-ns#"
  xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/"
  xmlns:content="http://purl.org/rss/1.0/modules/content/"
  xmlns:sy="http://purl.org/rss/1.0/modules/syndication/">

<channel rdf:about="https://yang-wo.novel.wox.cc/feed">
	<title>Wuron Chaya Annex</title>
	<link>https://yang-wo.novel.wox.cc</link>
	<description>-</description>
	<dc:language>ja</dc:language>
	<items>
		<rdf:Seq>
							<rdf:li rdf:resource="https://yang-wo.novel.wox.cc/entry17.html" />
							<rdf:li rdf:resource="https://yang-wo.novel.wox.cc/entry16.html" />
							<rdf:li rdf:resource="https://yang-wo.novel.wox.cc/entry15.html" />
							<rdf:li rdf:resource="https://yang-wo.novel.wox.cc/entry14.html" />
							<rdf:li rdf:resource="https://yang-wo.novel.wox.cc/entry13.html" />
							<rdf:li rdf:resource="https://yang-wo.novel.wox.cc/entry12.html" />
							<rdf:li rdf:resource="https://yang-wo.novel.wox.cc/entry11.html" />
							<rdf:li rdf:resource="https://yang-wo.novel.wox.cc/entry10.html" />
							<rdf:li rdf:resource="https://yang-wo.novel.wox.cc/entry9.html" />
							<rdf:li rdf:resource="https://yang-wo.novel.wox.cc/entry8.html" />
							<rdf:li rdf:resource="https://yang-wo.novel.wox.cc/entry7.html" />
							<rdf:li rdf:resource="https://yang-wo.novel.wox.cc/entry6.html" />
							<rdf:li rdf:resource="https://yang-wo.novel.wox.cc/entry5.html" />
					</rdf:Seq>
	</items>
</channel>

	<item rdf:about="https://yang-wo.novel.wox.cc/entry17.html">
		<link>https://yang-wo.novel.wox.cc/entry17.html</link>
		
				
		<title>(2)</title>

		<description>-</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ - ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2012-10-28T18:07:36+09:00</dc:date>
		<dc:creator>-</dc:creator>
		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
	</item>
	<item rdf:about="https://yang-wo.novel.wox.cc/entry16.html">
		<link>https://yang-wo.novel.wox.cc/entry16.html</link>
		
				
		<title>第一章(1)</title>

		<description>-</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ - ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2012-10-15T21:25:36+09:00</dc:date>
		<dc:creator>-</dc:creator>
		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
	</item>
	<item rdf:about="https://yang-wo.novel.wox.cc/entry15.html">
		<link>https://yang-wo.novel.wox.cc/entry15.html</link>
		
				
		<title>序</title>

		<description>-</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ - ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2012-10-14T23:43:19+09:00</dc:date>
		<dc:creator>-</dc:creator>
		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
	</item>
	<item rdf:about="https://yang-wo.novel.wox.cc/entry14.html">
		<link>https://yang-wo.novel.wox.cc/entry14.html</link>
		
				
		<title>14．どうかしばしの休息を</title>

		<description>　永遠に主を失った木こりの家は、どこか…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 　永遠に主を失った木こりの家は、どこかうら寂しい感じがした。
　横になると余計に辛いからとルーシェは寝台を断り、壁に寄り掛かっている。
　咳はまだ治まらず、苦しそうに喘いでいた。
　ザスは黙り込んだまま、剣の手入れをしている。
　エナンは木こりの遺した袋から何やら道具を取り出すと、地下室からの道を使って裏庭へ出て行った。
「あ～あ、砂まみれだわ。お風呂に入りたいわねぇ」
　気詰まりな雰囲気に耐え兼ねたヴァリスは殊更明るく言ってみたが、誰からも賛同は得られなかった。
　――ちょっとくらい喋りなさいよ、ザス！
　いつも陽気なファイターは暗い表情で黙り込んだまま、一言も発することなく剣を置くと、盾を手に取り同じように磨き始める。
　取り付く島のない様子にヴァリスはこっそり溜息を吐くと、木箱に腰掛けた。
　乱れ放題の蒼い髪を手櫛で整え、解けかかったビーズ飾りを着け直す。
　二人の間に流れる硬い空気に、より一層居心地の悪さを感じていたところへ、エナンが銀製のカップを片手にようやく戻って来た。
　湯気の立つカップからは淡い花の香が漂っている。
　セージにヒソップ、ナイトシェード、カモミール、それに蜂蜜が少々。精神疲労と喉の痛みを緩和するハーブティーだ。
「少しは楽になるはずだ」
　緑髪のハンターは無表情にそう言うと、カップをルーシェに手渡した。
「ありがとうございます」
　掠れた声での礼に頷きで返し、火打ち石を木こりの袋へ戻す。
　それを見ていたエルフが、
「あら、言ってくれれば火くらい起こしたのに」
　と、魔法を使う時の仕草をしてみせた。
　エナンはそれに一瞥を送り、肩をすくめる。
「あんたも飲んでおくといい。粥も作ってある」
　扉をくぐりしなにヴァリスを誘うと、また薄暗い地下室に消えていく。
　野宿になった際の食事が質素ではあっても粗末にならないのは、偏にこのハンターのおかげであった。
　野草や木の実に詳しく、獣の獲り方にも精通している。
　水場を探し出すのも、風の向きを読んで安全な寝場所を確保してくれるのも彼だった。
　ザスは力仕事に向いているし、ヴァリスも魔法を使って多少の手伝いはできたが、もしこのパーティが彼ら二人だけであったら今頃どうなっていただろうか？
　そう考えるだけでも恐ろしい。
　エルフの森を出たばかりの時には、一人で冒険するつもりでいた。あまりの無謀さに今更ながら背筋の凍る思いだ。
「エナンがいてくれて本当に助かったわ――ザス、食事にしましょう」
　ヴァリスは立ち上がると、ザスの袖を引いた。
「ザスったら聞いてるの！！」と強めに呼びかけて、ようやく相手の反応を得る。
「なんか言ったか、ヴァリス？」
「食事にしましょうって言ったのよ。エナンがお粥を作ってくれたの」
「そうか。あいつにはいつも世話をかけるな」 ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2011-02-01T17:20:34+09:00</dc:date>
		<dc:creator>-</dc:creator>
		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
	</item>
	<item rdf:about="https://yang-wo.novel.wox.cc/entry13.html">
		<link>https://yang-wo.novel.wox.cc/entry13.html</link>
		
				
		<title>13．勝利の代価</title>

		<description>　荷物袋を取り戻すと、エナンはすぐに木…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 　荷物袋を取り戻すと、エナンはすぐに木こりの青年のもとに向かった。
「ヴァリス、大丈夫か？」
　左腕にほとんど抱えるようにしてルーシェを支えるザスが、エルフに向けて心配そうに右手を差し出す。
　傷だらけになった木の幹に背中を預けて座り込んでいたヴァリスは、疲労の濃い顔に笑みを浮かべると、
「あたしは平気よ。エルフはヒトより造りが頑丈なの、知ってるでしょ？」
　そう言いながらザスの手を借りて立ち上がった。
　少し遅れてエナンに追い付いた三人は、彼の手元に置かれたキズ薬が未開封であることに気付く。
「エナン、どう……？」
　それでも躊躇いがちに口を開くと、ハンターが首を微かに横に振る。
　その仕草に、ザスは奥歯をギリリと食いしばり、ヴァリスはブルーグレーの双眸をぎゅっと閉じた。
　ファイターの腕から離れたルーシェは木こりの傍らに膝を着くと、冷たくなった手をとり、両手できつく握りしめた。
「やはり……オーリアンは嘘つきですね。貴方は誰も救わない。誰も……」
　小さな声で呟かれた言葉は、近くにいたエナンにも聞き取れなかった。
　怪訝な表情を浮かべるハンターの眼先で、ルーシェは右手を口元に運ぶと、中指に歯をたてて噛み破る。
　そして、血の滴る指を木こりの青年の額に触れさせた。
「やめろ、ルーシェ！」
　ザスがハッとした様子で、プリーストの細い腕を掴もうと、飛び掛からんばかりの勢いで近づく。
　状況が飲み込めないままのエルフとハンターは、ザスの剣幕に圧倒されて呆然とするよりほかになかった。
「その呪は駄目だ！　ルーシェ、やめてくれ！」
　ザスの悲鳴にも似た制止の声をまるで拒絶するかのように、ルーシェの周りに深紅の呪陣が展開した。
　青年の額に文字とも絵ともつかぬ印を血で描きながら、プリーストは薄い唇を動かし続ける。

　――神狼ムゥよ、導き給え。この魂が迷わぬように。ハーディスの月の舟にて。渡し守ムゥよ、どうか導き給え。海の底の静かなる庭へ――

「――！？」
　エナンとヴァリスは驚愕に目を見開いた。
　柔らかな旋律を伴って歌われた魂送りの呪。
　オーリアン教会のものではないそれは、古語によって綴られていた。
「赤い呪陣（ブラッド・サークル）――古代の魔法だわ。長命のエルフでも使える者は少ないのに……」
　深紅の呪陣いっぱいに狼の鼻先が現れた。
　生えそろった鋭い牙を見せ付けるように顎（あぎと）を大きく開き、木こりの身体を一息に呑み込むと、再び地の底へと潜っていった。
　神狼ムゥ――女神グレシャスが夫神ハーディスに贈ったとされる神獣である。
　東の空に月が昇り始めると同時に姿を現し、昼の間に集めた魂を月の舟に乗せ、海底にあるハーディスの庭へ送り届ける役割を担っていると伝えられていた。
　だが、今は農作物を荒らす害獣の首魁と見做され、オーリアンの信徒にとってはもはや信仰の対象ではなかった。
　教会が棄てた神を、教会の人間が信仰する。
　嫉妬深いオーリアンが、それを寛恕するはずもなかった。
　深紅の呪陣が消える――同時に、ルーシェは身を折るようにしてうずくまると、激しく咳込み始めた。
　喉で厭な音が鳴り、口の中に金錆びた味が広がる。
　咄嗟に手で覆ったが、到底隠しきれるものではなかった。
　指の隙間から流れ落ちた血が草に触れた瞬間、黒く変色して枯れていく。
「――！」
　ヴァリスは上げかけた悲鳴を、なんとか飲み込んだ。
　ルーシェの背中をさすってやりながら、「どういうことなの？」と原因を知っているらしいザスに目顔で問い掛ける。
「オーリアンの“罰”だ」
　赤毛のファイターは苦々しげに口にした。
「すまないが、少し休ませてやってくれ」
「じゃあ、木こりさんの家をお借りしましょうよ。暗くなってきたし、もうヘトヘトだわ。モンスターに囲まれたって、あたし、これ以上は戦えないわよ～」
「これも返すべきだろう」
　エナンはオウルベアから取り戻した木こりの白い袋を丁重に抱えあげた。
　中にはキズ薬のほかに、伐採用の道具、様々な書き込みのなされた地図と方位磁石、簡易食糧、それに鍵が二本入っていた。
　そのうちの一本にはタグに「ボート小屋」の文字がある。
　木こりが言っていた大事な物とは、この鍵のことだったのだろうか。
　ザスはこの場で少し休んでから宿屋に引き返すつもりだったが、その考えは改めざるを得なかった。
　誰の顔にも思った以上に疲労の色が濃い。
　おそらく自分もひどい有様なのだろう。ヴァリスとエナンから気遣わしげな視線が送られてくる。
「ルー、歩けそうか？」
　ひどく痛むのか、ルーシェは服の胸元を鷲掴みにして、大きく喘いでいた。
　細く白い顎が吐いた血で染まっている。その凄惨さに、ザスは胸の詰まる思いであった。心の中で後悔の念が渦巻く。
　ザスの問いに頷きで応えたルーシェは緩慢な動作で立ち上がると、ヴァリスの助けを借りてゆっくりと歩き出した。
　当然のように差し出されたザスの手は、虚しく空を切った。 ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2011-02-01T17:17:10+09:00</dc:date>
		<dc:creator>-</dc:creator>
		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
	</item>
	<item rdf:about="https://yang-wo.novel.wox.cc/entry12.html">
		<link>https://yang-wo.novel.wox.cc/entry12.html</link>
		
				
		<title>12．崖っぷちの決戦</title>

		<description>「…気を…つけ……近くに…く、熊の…化け物が……</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 「…気を…つけ……近くに…く、熊の…化け物が……」
「化け物？！」
「そ…いつに……荷物を奪わ…れて……キズ薬と…大事なもの…が入ってる……どうか…取り戻し……」
「わかった。すぐに取り戻してくるからな！」
　ザスはルーシェの腕を掴むと、半ば引きずるようにして、化け物がいると教えられた方向へと走り出した。
　特製のキズ薬ならば、ハーブよりも止血の効果に期待できるかもしれない。
「しっかりするのよ！　すぐに戻ってくるから！」
　ヴァリスもそう言うと、ザスの後を追った。
　布を裂いて作った包帯を傷口に固く巻き付け、応急処置を終えたエナンがそれに続く。
　木こりの青年が心配ではあったが、化け物を一刻でも早く倒すには人数が多い方がよい。
「こいつは……何だ……？」
　現れた化け物の姿を目にして、驚愕のあまりザスは息を呑んだ。
　フクロウの頭に熊の体。
　彼らの耳には奇声にしか聞こえなかったが、どうやら言語を解しているようだ。
　二頭のキラーベアを引き連れたその化け物は、オウルベアという合成獣であった。
「ふん。俺たちを食うだと？  食われるのは貴様の方だ、化け物め」
　しきりに奇声を上げて襲い掛かってくるオウルベアを、エナンの正確無比な矢が牽制する。
　ファイターも巧みな剣捌きで瞬く間にキラーベアを倒すと、不気味な合成獣に対峙した。
　直接攻撃よりも、ハウリングによる衝撃波が厄介であった。こちらの能力を下げる攻撃で、防御力や素早さをダウンさせられるのだ。
「こいつ、地属性なのね。だったら――『スパークバレット』！」
　オウルベアの属性を見極めたヴァリスは、レイピアでの攻撃の合間に風の魔法を折り込んだ。
　反属性での攻撃ならば、かなりのダメージを与えられる。
「『リフレッシュ』！」
　ルーシェは敵の動きと仲間の状態を把握しながら善戦してはいるものの、やはり足元が覚束ない様子だった。
　切り立った崖の上である。
　遥か下に存在するのであろう地面は、砂塵に霞んで見えない。
　そんな崖の縁ぎりぎりの所で化け物の攻撃こそ躱したルーシェだったが、もはや
　足に力が入らず、がくりとその場に膝を付いてしまった。
　そこへ、かなり弱ってきたオウルベアが、最後の一撃とばかりに突進をかける。
「ルーシェ！！」
　ザスとヴァリスが同時に叫んだ。
　エナンは素早く矢をつがえ、過たず鋭い一矢を放つ。
　肩で息をしていたプリーストも己の得物をなんとか握り直すと、渾身の力を込めて振り下ろした。

「ギィヤァァァァ――！」

　ウォーハンマーによる打撃と、絶妙のタイミングで放たれたハンターの第二矢が、化け物に耳をつんざくような断末魔の声を上げさせた。
　塵となったオウルベアは風に吹き払われ、遙か眼下の砂塵の中へと消えていく。
　ふらりとよろめいたルーシェの身体を、赤毛のファイターがしっかりと抱き留めた。 ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2011-02-01T17:15:07+09:00</dc:date>
		<dc:creator>-</dc:creator>
		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
	</item>
	<item rdf:about="https://yang-wo.novel.wox.cc/entry11.html">
		<link>https://yang-wo.novel.wox.cc/entry11.html</link>
		
				
		<title>11．残酷なモノたち</title>

		<description>　地下室はまさに宝庫であった。
　アイ…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 　地下室はまさに宝庫であった。
　アイテムの入った宝箱が二つ。そして、伐採場の鍵も大切にしまわれていた。
　他にも熊のレリーフが刻まれた箱とやたら豪華な箱があったが、今のところ彼らには開ける術がない。
「鍵も手に入ったことだし、伐採場に行ってみましょうよ。木こりさんに何か聞けるかも知れないわ」
「あの青い蟹は食えるかどうか聞いてみるかな。さんざん邪魔してくれたからには、是非ともお礼参りをな……くくく」
「ザスったら、どうしてそんなに蟹が嫌いなの？」
　不気味に笑い続けるザスは、どうやら蟹に対して並々ならぬ思いがあるようだ。
　エルフはその言動から何かに思い当たったらしい。
　綺麗なブルーグレーの双眸を三日月の形に歪めると、ファイターの肩に腕を回し、「ぼ・う・や♪」と猫なで声で呼びかけた。
　大勢いる姉たちが、唯一の弟であるヴァリスを揶揄う時によく使う手段だ。
「さてはザス～、あなたの水嫌いの原因って蟹のせいなんでしょう？　おおかた波打際で遊んでたら、蟹に足の小指を挟まれたってトコね」
「ヴァリス、何故それを！！」
「さすがですね。当たりましたよ」
　ザスは紅くなったり蒼くなったりしながら狼狽を極め、ルーシェは拍手喝采でエルフを褒めたたえた。
「まるで紙芝居のようだな」とエナンが呟く。
「紙芝居にそんなお話があるのですか？」
「え？！　 知らないの？」
「これだから生粋の教会育ちはよ～。知ってるか？　教会モンはガキの頃から聖典しか読まないんだぜ」
「そうなの？　じゃあ、知らなくても仕方ないわね」
　ザスの説明にヴァリスは妙に納得した。教会育ち＝世間知らずは、この世界の常識だ。
「あたし、オーリアン教会って一度も行ったことないのよね。教会本部はすごく綺麗な建物だって話だけど、本当？」
　エルフはどの国にも属さない独自のコミュニティを持っている。
　オーリアン信徒がいないわけではないが、その数は非常に少なく、ほとんどのエルフは教会に一度も足を踏み入れることなく一生を過ごすのだ。
　彼らが畏敬と崇拝の念を抱くのは己の中に脈々と流れる血と、それをもたらしてくれた代々の先祖たちに対してのみである。
　基本的に神という概念を持たないエルフに、信仰を迫ることは難しい。
「ええ。『神の宝冠』の名のとおり環状をした白亜の建物で、至る所に教会が聖石と定めた金剛石・黒曜石・紅玉石が飾られています。特に大聖堂にある三本の柱が素晴らしく、三神の像とともに大変敬われていますよ――所詮、美しいだけの“空の器”ですけど」
　にこやかに説明していたルーシェは、最後のくだりでフッと目を伏せた。
「ルー……？」
　ザスが心配そうに声をかける。
「さて。教会のことは置いといて、伐採場に行きましょうか？」
「え？　そうね！　待っててちょうだい、お宝ちゃ～ん」
　ヴァリスはそう言うと、レイピアを振り回しながら表へ出ていった。
「退きなさいよ、あんた達！ 邪魔ばかりすると鍋にして食べるわよ！」
　どうやら、扉を出るなり早速現れた熊を相手に戦っているようだ。
「蟹すきに熊鍋か。豪勢だな」
　エナンが今夜の夕食に思いを馳せると、ザスが大きく頷きながら、
「あの沼にいたぴょんぴょん魚もフライに向いてそうだったよな～」
　と、メニューの増加を図る。彼はタルタルソースが大好物なのだ。
「どうしてそんなに食べる気満々なんですか？  仮にあれらが食べられるとしても、私は遠慮したいのですが……」
「ルー、そんなことじゃ冒険なんかやってられないぞ」
「ルーって……某料理の固形調味料みたいで非常に嫌なのですが」
「なんで嫌なんだ？　カレーを馬鹿にするなよ、ルー」
「シチューは無視か？」
「ハッシュドビーフもあるわよ！」
　そんなアホ話をしながら一行は伐採場に辿り着いた。
　出入り口の鍵を開けるヴァリスの後ろで、「血の臭いがする」とエナンが顔つきを険しくした。
　警戒心を高め、辺りに注意を払いながら進んで行く。
　と、ルーシェが何かに気付いて駆け出した。
　細い身体の周りには聖呪を発動させる際の金色の呪陣ができている。
　白い両手を血まみれの何かにかざすと、
「『リストア』！」
　回復を促す呪文を叫ぶように唱えた。
「エナン、ハーブがあるなら止血を手伝って下さい！」
　薬草の知識に長けたハンターも急いで駆け寄る。
　夥しい血を流して倒れているのは、木こりの青年であった。
　エナンは全てのラベンダーを使い切ったが、まだ血は止まらない。
「神よ、どうか御目を開いて下さい！ 『リストア』！」
　ルーシェも精神力を振り絞って聖呪をかけ続けているが、まるで空を掴むかのような手応えのなさに蒼ざめていくばかりであった。
「ザス、魔力の使いすぎは危険だわ。あのままじゃルーシェも……」
　無防備な二人を護るため、周囲を警戒していたヴァリスだが、ついに見かねて口を挟んだ。
　度を超した魔力の使用によりロストとなったプリーストは多い。
　肉体だけでなく、精神までも回復できぬ程に疲弊してしまい、ずっと眠りについたままの者もいるという。
　魔法には疎いザスにも、ルーシェが危険であることは見て取れた。
　だが、発動中の呪を阻止することは、絶対にしてはいけない行為であった。
　プリーストだけではない。エルフであれフェアリーであれ、およそ魔法を使う者が最も禁忌とするのが、他者の介在による術の中断である。
　場合によっては、施術者の生命を奪いかねないからだ。
　彼らの懸念が耳に入ったのだろうか。
「あり…がとう……もう、い……」
　固く閉じていた青年の目がうっすらと開き、赤く染まった手がルーシェのそれに重ねられた。 ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2011-02-01T17:10:43+09:00</dc:date>
		<dc:creator>-</dc:creator>
		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
	</item>
	<item rdf:about="https://yang-wo.novel.wox.cc/entry10.html">
		<link>https://yang-wo.novel.wox.cc/entry10.html</link>
		
				
		<title>10．何だか泥棒みたいね</title>

		<description>　ギィ……とお約束どおりのきしみ音をたて…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 　ギィ……とお約束どおりのきしみ音をたてて扉は開いた。
　木こりの家である。主の姿は見えない。
「あらあら無用心ね」と言いながら、ヴァリスは早速、手近にあった宝箱に手をかけた。光り物が大好きなエルフは、宝箱を見ると理性を失くし気味だ。
　だが、すぐに上機嫌に流れていた鼻歌はピタリと止まった。
「ねぇ、こんな棒が入ってたんだけど、何だと思う？」
　わざわざ宝箱に入れる必要があるのかしらと、首をひねりたくなる代物に困惑するヴァリスに、
「さあな」
「とりあえず回収しとけよ」
　ハンターとファイターはいかにも興味なさげに答えた。
「今日は伐採場に行っているみたいですね」
　壁掛けのボードに書き込まれた予定を見て、ルーシェが口を開く。
　その間にもヴァリスは、自分の身長よりも高く積み上げられた荷物の上にも宝箱があるのを目敏く見つけていた。
「ザス、その木箱をここに置いてくれないかしら？」
　少々のことでは揺らいだり崩れたりしそうにないのを確認すると、足場を作ってくれるようザスに頼む。
　力仕事を快く請け負ったファイターは、軽々と木箱を抱え上げた。
「この辺でいいか？」
「ありがと」
「気をつけろよ」
　足場から荷物の上へと身軽く移動するヴァリスを見守りながら、何かあればすぐに対処できるようにとザスは神経を張り詰めさせた。
　宝箱にはトラップが仕掛けられていることもあるからだ。
　少し離れたところではルーシェとエナンが床の扉を開けようとしている。
「食糧の保存庫でしょうか？」
「いや、地下室のようだ。反響音が深い……鍵がかかってるな」
「じゃあ、これがその鍵かしらね～」
　宝箱の中身をひらひらと振ってみせたヴァリスは、それをエナンに向けて放り投げた。
　緑髪のハンターは振り返りもせずにキャッチすると、鍵穴に差し込む。
　かちり、と一同の期待を裏切らない音が響いた。
「結構広いわね。いかにも何かありそうだわ」
　好奇心旺盛なエルフは開けられた扉の中を真っ先に覗き込んだ。
　いつの間に側に来たのかと、ルーシェが驚いた顔をするのにも構わず、いそいそと地下室へ入っていく。
「びっくりするだろ？　あいつの動きには時々俺でも付いて行けん」
　そう言って肩を竦めるザスに、ルーシェはにっこりと微笑んだ。
「弱気なことを。あなたにはしっかり（あの暴走エルフの見張りを）していただかなくては」 ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2011-02-01T17:08:31+09:00</dc:date>
		<dc:creator>-</dc:creator>
		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
	</item>
	<item rdf:about="https://yang-wo.novel.wox.cc/entry9.html">
		<link>https://yang-wo.novel.wox.cc/entry9.html</link>
		
				
		<title>09．水難と使えぬ魔法</title>

		<description>「滝の次は沼かよ」
　淀んだ水の気配に…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 「滝の次は沼かよ」
　淀んだ水の気配に辟易した様子で、ザスはぼやいた。
　体の中まで黴が生えそうな感じである。
「マズそうな蟹はいるし……」
　スリリングな滝渡りを体当たりで邪魔してくる蟹――ジャイアントクラブは、さぞかし身がつまっているだろうと思わせる体格を誇っていたが、青色をした外郭は食欲をそそるものではなかった。
「魚はぴょんぴょん跳ねやがる」
「おかげで攻撃が当たりにくいのよね……って、もう！　ただでさえジメジメして鬱陶しいのに、あんたまでジメジメしないでよ！」
　ゴブリンが築き上げたバリケードを「しゃらくさい！」と一言のもとに壊滅せしめたヴァリスは、火系魔法を愛用しはじめていた。
　まさかそれに触発されたわけでもないだろうが、言動が少々過激になっている。
「すまんな。しばらく復活できねえかも……」
　ザスの顔は三日の断食とタメを張れるくらい、げっそりしていた。
「高所恐怖症のうえに水恐怖症。今までよく冒険してこられましたね」
「え？　そうだったの？」
「あーもー。お前は黙ってろ、ルーシェ」
　ぶよぶよの苔の絨毯を踏んで、一行は進む。途切れ途切れの浮き橋は、右に左に大きく揺れ、一秒たりとも止まることを許さない。
　誰かが水に落ちてしまうと、残りの者も引きずられて同じ運命を辿るハメになった。
「レビテート……レビテートが使えたら！」
　ずぶ濡れになりながら固く拳を握りしめ、ヴァリスは浮遊効果を与える魔法を切望する。
　そんな彼にルーシェがおっとりと厳しい現実を告げた。
「あれはフェアリー特有の魔法ですからねぇ」
　エルフは己の体内を流れる血で、プリーストは神に祈ることで魔法を発動させる。フェアリーの魔法は精霊を使役して行う。まったく系統が異なるため、魔力が充分にあったとしても他の魔法は使えないのだ。
「あなた、綺麗な顔して結構イイ性格よね。ここは『そうですね』って相づちを打ってくれればいいのよ？」
　ホホホホホと笑い声までオネェ調のヴァリス。
「これは気付かずに申し訳ないことを。以後、（憶えていたら）改めますね」
　にっこりと笑み交わす二人に不穏なものを感じるのは、気のせいだろうか。
　だが、さすがのヴァリスも、ルーシェの怪しげな心中独語までは察知できなかったようだ。
「おい、家らしきモンがあるぞ」
　沼地を抜けると草原が広がっていた。そこにレンガ造りの建物が一件、ぽつんと寂れた様子もなく存在している。
　信じられないことだが、こんなモンスターだらけの森にも住人がいるらしい。
「誰が住んでるのかしら？」
「訪ねてみましょうか。森のことも何か聞けるかもしれませんよ」　
「そうね。でも、とりあえずは凶悪面の熊どもを倒しましょう」
　彼らの背後では、キラーベアが茶色の巨体を武器に迫りつつあった。 ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2011-02-01T17:06:33+09:00</dc:date>
		<dc:creator>-</dc:creator>
		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
	</item>
	<item rdf:about="https://yang-wo.novel.wox.cc/entry8.html">
		<link>https://yang-wo.novel.wox.cc/entry8.html</link>
		
				
		<title>08．嫌がらせ？</title>

		<description>「こっちの橋は壊れてるみたいよ。向こう…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 「こっちの橋は壊れてるみたいよ。向こうから行きましょう」　
　鍵のかかったボート小屋を無視して先へと進んだ一行は、中央部分がぽっかり抜けた橋を迂回することになった。
　大した距離ではないので誰からも異論は出ない。
　ザスは意図的に歩調を落とし、後ろのルーシェに並んだ。
「酒場で一体何をやらかしたんだ？」
「え？」
「とぼけるなよ。派手に騒いだんだろう？」
「いいえ」
　即座に否定したのは別にザスを気遣ったわけではなく、彼にとってあの一件が「派手な騒ぎ」ではなかったために他ならない。
　その証拠に赤毛のファイターは胡乱な眼差しを向けている。
「じゃあ、護衛の騎士がいないのは何故だ？」
「それは彼が騎士ではなくなったからです」
「どうして騎士じゃなくなったんだ？」
「私が位を剥奪したからです」
「俺はその理由を聞いてるんだよ」
「彼が騎士にふさわしからぬ行動をしたからです」
「それを騒ぎと言うんじゃないのか？」
「そうですか？」
「教会に入ってから感覚がボケてんじゃねぇか、叔父貴」
「嫌な呼び方……。私は貴方に肉親の情なんて感じていませんよ？」
「それは、お互い様」
　気が付くと二人はヴァリスとエナンにずいぶん遅れていた。
「ちょっと、何をマッタリ話し込んでるのよ！　あたしたちにだけ戦わせるなんてズルいじゃない！」　
　何らかの仕掛けが施されていたらしく、先行組の二人は柵に囲われた一画に閉じこめられていた。
「これ、どうやったら開くのよ～」
　こんな狭い場所にわざわざ出現しなくても良いだろうに。モンスターは意外と働き者のようだ。
　質の悪いゴブリンシャーマンが今日も今日とて、マジックミサイルを連発する。
　ザスは腰の高さにある柵をひょいと越え、戦いに参加した。出るのは無理だが、入ることはできるらしい。
「開いたぞ」
　と、エナンが無感動な口調で告げる。
　一行が一定数以上のモンスターを倒すと開くのだと理解したのは、再び同じ仕掛けに填った後だった。
「小技ながら苛立ちを誘う、実に心憎い仕掛けですね。素晴らしい」
「是非とも制作者に会いたいものだな」
「あんたたち変よ！　絶対に変！」
「そこに俺まで加えるなよ、ヴァリス」
　万事こんな調子ながら、レベルの上がった一行は森をサクサク進んでいった。
「これがあの有名な『マルドの大滝』ですね。私、初めて見ました」
　水飛沫のヴェールの向こうで、対岸が霞んでいる。
「渡る……のか……？」
　やや高所恐怖症の気があるザスが顔を引きつらせていた。
　対岸までの距離もさることながら、滝の落差もかなりのものだ。
　橋が架かっていないのは、明らかに何者かの悪意に満ちた作為だろう。
　所々に突き出た岩のあいだを不自然なまでに丸太が流れていく。
「この丸太も足場にして渡れってことよね、きっと」
「嘘だろ……」
　すぐ右手は奈落の底。タイミングを誤れば、丸太ともども滝壺へ真っ逆様だ。
「そう言えば、でん○×▽■☆◇～！」　
　何かを言おうとしたルーシェの口を、ザスがいつもの倍はありそうな素早さで塞いだ。
　――でん？
　エナンとヴァリスが先の予想できない言葉に首を傾げる。
「ホラ、サッサト行コウゼ！！」
　無理に作ったとバレバレな明るい声と笑顔で、赤毛のファイターが一行を促す。
　丸太以上に不自然な態度。右手と右足が同時に前へ出るぎこちない動きと、額に浮いた冷や汗は、いったい何が原因なのだろうか。
　――でんホニャララ、のせい？
　寡黙なハンターとオネェ言葉のエルフは、それからしばらく答えの出ない問いに苦しんだ。　 ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2011-02-01T17:04:16+09:00</dc:date>
		<dc:creator>-</dc:creator>
		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
	</item>
	<item rdf:about="https://yang-wo.novel.wox.cc/entry7.html">
		<link>https://yang-wo.novel.wox.cc/entry7.html</link>
		
				
		<title>07．二大王国と教会</title>

		<description>　大陸北部を占めるアケルス王国。
　南…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 　大陸北部を占めるアケルス王国。
　南部を領し、千五百年の歴史を誇るカストルーテ王国。
　表面上は穏和に、その実、かなり打算的に友好の刃を交わした両国は、点在する古代遺跡を巡って熾烈な争いを繰り返していた。
　王は国財で数多の冒険者を雇う。それは、かつての魔導文明の名残と思われる遺跡を探らせて、その技術や遺産を国力増強の術として取り入れようと考えてのことだった。
　両国は互いに争ってはいたが、共通の思惑もあった。
　大陸全土を支配するオーリアン教会をなんとしても打ち倒したいのだ。
『神の宝冠』と称される教会本部には、国王よりも権力を持った大司教がいる。
　四百四十四年前。
　オーリアンはそれまで崇拝されていた神々を武力で制し、支配下に置いた。
　殊に厚い信仰を受けていた神は悪神として成敗され、消滅を余儀なくされたものも存在する。
　かつての信仰は旧教として淘汰され、オーリアン教会が台頭した。
　グレシャス、ハーディスは旧教で夫婦神として信仰されていた神である。
　暁の女神・グレシャスは大地母神であり、闇の支配者・ハーディスは海神であったのだ。
　グレシャスに心奪われたオーリアンが彼女を得るために、ハーディスを闇に封じたのが事の始まり。
　寂しさに耐えかねた彼女はオーリアンの手を拒み続け、やがて自ら死を選んだと言われている。
　教会の創設がいかにドラマティックであろうと、現実に生きる国王たちには面白いものではない。
　遺跡同様に各地に点在するオーリアン教会には、その思想を広める傍らで情報や技術を収集し、本部に伝える役目があった。
　それらは全て本部で統括され、必要に応じて国あるいは個人へと売り渡される。
　大陸全土の文化・経済を動かしているのはオーリアン教会であると言っても過言ではなかった。
　信徒でなければ、その『恩恵』に与ることもできない。
　これが大司教が国王を上回るカラクリであった。
　冒険者がキャリアのプリーストを雇うにも莫大な金がかかり、ここにも国財が教会へと流れる仕組みができあがっていた。
　アケルス国王・ヨエル８世は頭を抱えて悩む。
　カストルーテ国王・クローシュは実弟を教会に送り込み、問題を解決しようと目論んだが、結局は失敗に終わった。
　進退窮まったカストルーテは教会打倒から今しばし手を退くこととなる。　
　アケルスも単独ではどうにもならず、教会の専制をゆるしてしまう。
　ままならぬ現状に憤り、大司教の早逝を願う彼らを、ハーディスの月が不気味に照らした。
 ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2011-02-01T17:02:35+09:00</dc:date>
		<dc:creator>-</dc:creator>
		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
	</item>
	<item rdf:about="https://yang-wo.novel.wox.cc/entry6.html">
		<link>https://yang-wo.novel.wox.cc/entry6.html</link>
		
				
		<title>06．おまえは何者だ？Ⅱ</title>

		<description>キィィィィィィン――

　思わぬ金属音に…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ キィィィィィィン――

　思わぬ金属音に驚いたのはエナンばかりではなかった。
　騎士の剣はウォーハンマーの柄に受け止められ、唖然としているうちに半ほどからポキリと折れる。
　切っ先が足元をかすめてエナンはひやりとしたが、幸いにも刺さらずに済んだ。
「意外と丈夫なんだな、あんた。安心した」
　か弱い貴婦人よろしく気絶するのではないかと危惧していただけに、その言葉は本気だ。
　綺麗系プリーストは苦笑して、よく言われます、とだけ返した。
　手を伸ばして、蒼白になった騎士から折れた剣を回収する。
　それをエナンに渡すと、自身の得物を巧みに操って、騎士を床に跪かせた。
「ここが双国の緩衝地帯であることは分かっていますね」
「……はい」
「私の警告を無視したこと、許可なく私に触れたこと、覚えていないなどとは言いませんね」
「……はい」
「今すぐ主神オーリアンの御前に位を返上することを述べなさい。私の全ての権限において、貴方の騎士位を剥奪いたします」
　死刑宣告にも等しい言葉を、おっとりと告げる。
　たおやかな女性のように細い身体は聖呪を使った時と同様の、白い光を帯びていた。
　金色の呪陣が展開し、白光がさらに輝きを増す。
「名と生まれとを述べなさい。生まれ持つ星の日を告げなさい」
　騎士は終始無言だった。逃れようとはしないが、大人しく従う素振りもない。
「オーリアン、グレシャス、ハーディス――偉大なる三神の御名において、この誓約が無効なりしことを宣言する」
　周囲の人々がはらはらと見つめるなか、ルーシェの呪は微かな残滓を残して消えた。
「失敗したのか？」
　躊躇いもせずにエナンは問いかける。
「いいえ。この呪は声なき声も拾います」
　自分の内の何かが消失したことに気付いたのだろう。
　騎士はがっくりと項垂れていた。その首から信徒であり騎士の証である飾りが音をたてて滑り落ちる。
　中央に剣と百合が浮き彫りにされ、それを紅玉と黒曜石、そして金剛石とが囲んでいる。
　ルーシェの胸元にも同じ物があった。騎士の飾りよりも遙かにグレードが高い。
「あんたは一体何者だ？」
　王族に縁の人間にして、教会でもかなりの高位にある者。
　胡散くさい連中が多い冒険者のなかでも、ひときわ怪しい。
　興味と不審のないまぜになったエナンの視線を笑顔で受け止めて、
「私も知りたいですね。カスターニャでもアケルセンでもない、貴方について」
　返す刀はずいぶん厳しいものだった。
 ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2011-02-01T17:01:02+09:00</dc:date>
		<dc:creator>-</dc:creator>
		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
	</item>
	<item rdf:about="https://yang-wo.novel.wox.cc/entry5.html">
		<link>https://yang-wo.novel.wox.cc/entry5.html</link>
		
				
		<title>05．おまえは何者だ？</title>

		<description>「本当に？　本当に仲間になってくれるの…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 「本当に？　本当に仲間になってくれるの？」
　早朝の空気と適度なざわめきのなか、その声はやけに響いた。
　朝食を摂っていた冒険者たちの目が一斉に集まり、そしてすぐに逸らされた。
　ヴァリスの喜びようは尋常ではなかった。
　求め続けたプリースト。しかもキャリアだ。
　喜ばないほうがどうかしている、とはヴァリスの言である。
　にこにこと微笑みながら頷くルーシェの手をとってブンブンと振り回し、「ありがとう」を連発する姿は滑稽だった。
　彼と仲間であることを少しだけ後悔するエナン。
　ちょっと塩味が濃いな、と思いながら、一心不乱にスープをすする。
　眠れなかったのか、ザスは欠伸を何度もかみ殺していた。
　酒場兼用の食堂にはスパイスの香りが漂い、卵やハムの焼ける音が食欲を刺激する。各テーブルには果物が山と盛られ、鮮やかな色が目を楽しませてくれる。
　ようやく落ち着いたヴァリスはパンをちぎって口に放り込んだ。
　焼きたての香ばしい食感が広がり、それだけで幸せになれる。
「じゃあ、せっかくだし。今日はあの森のもう少し奥まで行ってみましょうよ」
「その前にアイテムを鑑定してもらおうぜ。金も作っておかないとな」
「わかったわ。一時間後に出発ってことでいいかしら？」
「ああ」
　ザスとヴァリスが席を離れる。主導権はいつも彼らが握っているようだ。
　緑髪のハンターは特に異を唱えることもなく、もくもくと食事に専念している。
「エナンさんは、準備はよろしいのですか？」
　ヨーグルトをすくう匙をとめて、ルーシェはおっとりと小首を傾げた。
「あいつらに任せているからいい。それから、俺のことは呼び捨てにしてくれ」　
「そうですか？」　
「慣れてるだろ？　あんたの身分なら抵抗なんかないはずだ」　
「確かに抵抗はありませんけど。そんなに偉そうにしているつもりもないですよ」
　誰も知らないと思ってたのにな、と呟きながら、ルーシェは額のサークレットを指でなぞった。
　大陸南部を占めるカストルーテ王国で、王家とそれに近しい者たちだけが身につけることを許されている青い石。
　北方のこの地ではあまり知られていないはずだ。
「安心しろ。他の連中は気付いていない」
「薄汚いアケルスの民が知った風な口を！」
　隣席に座っていた男が突然叫んだかと思うと、エナンの胸ぐらを掴みあげた。
　決して小柄とはいえないエナンを軽々と放り投げ、剣を抜いて逃げ場を奪う。
　その男が装備している重量のありそうな甲冑は、どう見ても教会特別製のディバインアーマーだった。
　清廉と剛健を旨とする教会の騎士が、役目を忘れて暴挙に及んでいるのだ。
「おやめなさい！　教会騎士団（オーリアン・ナイツ）の名を貶めるような真似は許しませんよ！」
　間に割り込んだルーシェが鋭い口調で騎士を制しようとする。
「あんたは教会でも高位にいるようだな」
「こんな時に何を言っているのです」
　場違いなエナンのセリフに、プリーストは情けない顔で振り返る。
　アメジストの双眸にやや気後れしていた騎士は、視線が外れたことで勢いを取り戻し、ますます強気になった。
「お退きください、ルーシェ様！　アケルセンごときを庇われては困ります！」
「俺はアケルセンではないぞ」
「貴様！　言うに事欠いて、我々と同じカスターニャだとでも騙るつもりか！」
「おやめなさいと――っ！」
　制止の声に苛立った騎士がルーシェの細い腕を掴む。
次の瞬間、プリーストは強い力で引かれ、背中から壁に叩きつけられた。
「――！」
　衝撃に束の間呼吸が止まる。
　そのまま床に崩れ落ちたルーシェは苦しそうに咳き込み始めた。
「護るべき人間に手を挙げるのが騎士のやることか？」　
「黙れ！」　　
　狼狽を隠しきれない騎士はエナンの皮肉に追いつめられ、手にした剣をやたらに振り回す。
　緑髪のハンターは上手くかわすが、さすがに無傷というわけにはいかなかった。
　時々走る微かな痛みに顔を顰める。
　騎士との距離が近すぎて矢を放つこともできないため、どうしても防戦一方になってしまう。
　再び逃げ場を奪われたエナンは、多少の怪我は仕方ないか、と覚悟を決めた。
　一太刀あびせなければ、この騎士も収まりがつかないだろう、と。
　まるでエナンの思考を読んだかのように、騎士が剣を振り上げる。
　外すことなど絶対にありえない。
　騎士はその一撃に渾身の力を込めた。
「死ね、アケルセン！！」
　刃が空を切る音。
 ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2011-02-01T16:59:06+09:00</dc:date>
		<dc:creator>-</dc:creator>
		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
	</item>

</rdf:RDF>